takau-0celtis’s diary

23歳フリーターの日記

ニート、面接で将来を心配される

1時就寝、9時起床。22時に床に就いたのだが、中々寝れなかった。面接で疲れたからだろうか。私は床に就くと考え事をする癖がある。何も考えずに横になることができないのだ。頭の中が忙しない感覚だ。酷い時はずっと考え事をして朝を迎えるなんてこともあった。それに比べれば、1時に寝れたのはマシと言えようか。

 

 

面接の3時間前から緊張が徐々に来た。私はこの緊張がたまらなく嫌いだ。面接が怖いのだ。初対面の人と接することにかなり抵抗がある。その上、私は自己開示が苦手だ。「自己PRをお願いします」なんて言われたら頭がフリーズして命令待ちのロボットのように静止する。就活をしなかった理由の1つはこれにある。

緊張が高まるとタバコがえらく進む。この3時間の間に10本以上は吸ってしまった。面接先へ向かう途中のタバコは我慢した。タバコ臭いと思われることがマイナスイメージに繋がるからだ。それがものすごいストレスだった。もう引き返してしまいたい気持ちだった

面接の15分前にお店についた。地元のドラッグストアで、大川の彼女がバイトしていたところだ。15分前はさすがに早いだろうと、その辺をぶらついて時間を潰す。

 

タバコを吸うのを我慢しつつドラッグストアのすぐ横の川を見下ろす。汚い川だと思った。私が子供のころと変わらずドブのような色をしていた。でもその汚く見える川でも魚が生きていることに驚きだ。いくら汚く見える水でも、魚の成長を促すバクテリアが豊富で、魚に適した水質なのかもしれない。

おそらく魚たちからしたらこの川は汚くないのだろう。それを汚いと思ってしまうのは、水を主に飲むものとしか認識しない人間ゆえか。先進国の中でも特に水が綺麗だと言われる日本では尚更だろう。人間からしたら、透明な水以外は全部汚いのだ。

アクアリストになって以来、普段は気に留めなかった川の水に対してこのように考えるようになった。視野が広がることは良いことだが、「川の水のphが気になる」なんてしょうもないことを思ったのはアクアリストの面倒臭いところかもしれない。

 

そんなことを考えていたら面接の5分前になっていた。慌ててお店に入って若い女性の従業員に声を掛けて、お店の事務所へ案内された。六畳くらいの小さな部屋だった。椅子に掛けて少しお待ちくださいと言われたので、掛けて部屋の中を眺めた。

壁に掛けてある、「ミスは6回まで!」と書かれたホワイトボードがやけに目立っていた。そんなにミスしていいのか、と思った。だが額面通りに受け取るのはまだ早い。1日のうちになのか、1週間のうちになのか、具体的な期間が書かれていないからだ。1日のうちにミスは6回まで、はさすがにミスしすぎだ。こんなにミスが許される職場はおそらく機能しない。かといって1週間のうちにミス6回も多い。じゃあ1ヶ月か?いや、そもそもミスにも種類がある。品出しのミスなのか発注のミスか、それともレジでのミスか。だが、ここらで考えるのをやめた。これは、従業員にしかわからないことだ。勤めてもいない私が気にすることでもない。

これからすぐ面接が始まるというのに、こんなどうでもいいことを考えていた。ここまできて面接から目を背ける無職。だがもう後には退けない。しばらくして扉からコンコンとノックが鳴り、齢50くらいの従業員が入って来た。挨拶をして、この人が店長だとわかった。そして面接が始まった。

 

その店長は電話で話した人だった。良く言えばお母さんのようで気さくな人。悪く言えばうるさいおばさんのような人だ。その人を松岡さんとしよう。

松岡さんは私の履歴書を一目して「はいはい、なるほどなるほど」と連呼する。嫌な間だった。

「一応大学は卒業しているのね」

「はい、一応」

「それで、今は働いていないと」

「無職です」

「無職かぁ」とため息を吐くように呟かれる。電話でも無職とは伝えたが、やはり無職が気にかかるご様子。ここでマイナスイメージを持たれると困る。まぁ無職の時点で既に遅いが。それを払拭するために私は明るく、

「無職なんですよ〜ははは」と吹っ切れているように言ったら、

「はははじゃないわよまったく」と笑って返された。掴みはOK。無職なことは仕方がないとして、決してネガティブさを出してはいけない。この面接は、無職だけどいかに明るく振る舞えるかが鍵となるはず。引き続き、

「お母さんはなんて言ってるの?心配してないの?」

「容認はされています。将来はしっかり考えなって」

「あらそう?でもね私、あなたが心配だわ」

赤の他人に心配をされて、なんか切ない気持ちになった。しかし松岡さんは止まらない。

「就活はしなかったのよね?将来についてはどう考えてるの?」

痛いところを突いてくる松岡さん。ここまで来たらもう、開き直るしかない。

「うーん、考えてないから無職やってます」と笑いながら答えた。

これを聞いて松岡さんは「あ〜…そっか。そっか。たしかに…なるほどねぇ」と感心したように言った。ここは決して感心をするところではない。感心をされるとせっかく開き直った心が折れてしまう。

「それで、今年は就活するの?」

「もうしないですね。すでにスタートで出遅れてますし、する意思がありませんから」

開き直った私のメンタルは強靭だった。無職であることに引け目を感じてはやっていけないのだ。無職であることを受け入れ、無職であることにプライドを持ち、無職である自分を愛している私は、もう何を言われても後ずさりをしない。

「家にいるときは何してるの?」

これまた痛い質問である。ニートの日常は中身がなさすぎるのだ。飯食ってうんこしてゲームして風呂入って寝るだけなのだから。私は無難に、

「趣味に使ってます」と答えた。

「趣味は何?」

「読書です。小説が好きです」

「あら、真面目ね」と、意外だわ、みたいな顔をする松岡さん。さっきからこの人、過激な質問するわ過度な反応するわで、無職のプライドが逆立った。

「なるほどね〜なるほどね〜」と言いながら、松岡さんは再び私の履歴書に目を落とす。

「ラーメン屋さんのバイトやってたなら、挨拶はしっかりできるのよね?」

「4年ほどやってたので、嫌でもできるようになりましたね」

「うんうん。うちは明るい挨拶をモットーにしてるから。その点は大丈夫そうね」

「はぁ」

「それで次はイト○ヨ○カド○で品出しのバイトしてたのよね?」

「はい。加工食品部で飲料とお酒を出してました」

「うんうん。その経験があるってのは大きいのよ。結構ガタイもいいみたいだし」

「ありがとうございます」

うちは主婦のパートが多いから男の子がいるのはすごい助かるのよ

「そうですか(お?)」

採用を匂わせる松岡さん。メンタルをエグる(私には効かない)ような発言をする割には、前向きではないかと少し驚いた。

 

そこでコンコンと事務所の扉が鳴り、従業員が入って来た。顔はよく見ていないが齢40ほどの女性の方だった。どうやら事務所には業務で必要なものが置かれているようで、何かを取りにきたみたいだった。

松岡さんは私から目を逸らして、

「どう?お客さん減った?」とその女性に声を掛けた。

「もうちょっとで退けると思います」

「○○はまだ残ってる?そろそろ切れるかと思うんだけど」

「まだ少し残ってますよ」

「そう。でね」と私の方に向き直った。一瞬反応が遅れてしまった。同時に、他の誰かがいながら面接続けるのかぁ、と思った。他の誰かに自分の話を聞かれるのは好きではないのだ。しかしそんなワガママはとてもじゃないが面接の場では言えない。

 

すると、またコンコンと事務所の扉が鳴った。私がお店に入って声を掛けた若い女性の従業員が入って来た。よくよく観察してみると、私と同い年かもうちょっと年上に見える顔立ちをしていた。

「休憩?」と松岡さん。

「はい。今からです」とその女性は、私たちが掛けているテーブルの椅子に座った。

えぇ…と思った。ここで休憩かよ、と。先に述べた通り、他の人に話を聞かれたくないのだ。というか面接中だ今は。それに加え、無職がどうとかの話を聞かれたくない。特に若い女性には。そう思った矢先。

「あのね、この子就職活動しなかったんだって。もう私お母さんみたいな気持ちになっちゃって〜」と、松岡さんは笑いながら若い女性に話しかけた。

「ははは」と私は笑う。もう笑うしかないのだ。

「ほらもうはははだって。私もう心配よ〜」

「何も言えないっす」

笑いながら私は誤魔化した。もう完全に吹っ切れた。今の私に精神攻撃は通用しない。だが、

「別に、就職しないことは悪いことじゃないですよ。私も無職の時期ありましたし」とその若い女性はフォローしてくれた。やさしい。少しだけ救われた気がした。だがフォローなんてされると、せっかく吹っ切れた心がまた元に戻ってしまう。

そしてそのやさしい女性は、コンビニの袋から弁当を取り出しおもむろに弁当を食べ始めた。

 

なんでやねん。面接中だぞ。おかしい。もしかしたら、この職場はおかしいかもしれない。

なんかすみません。面接中なのにご飯食べてて」とやさしい女性は一言断る。

「構いませんよ〜」と内心はどうあれ、一応礼儀で返しておく。しかし、

「それで、何の話だったっけ」と、松岡さんは気にも留めない。

「男の子がいると助かる話です」

「そうだったわ。でもね私はね、生半可な気持ちで仕事をやってほしくないのよ」と熱血な面を見せる松岡さん。そして採用しても、掛け持ちを始めて全然来なくなる人や、最悪バックれる人がいたりと、アルバイトは慎重に採用したいことも話した。どこの職場にもそういう人間はいるのだなと思った。無職の採用となれば、そりゃ慎重になるわなとも思った。

「ええもちろん。仕事をするからには真面目にこなします」

「うん、真面目そうだもんね。読書が好きらしいし」

「うーんそうですね、どっちかっていうと、真面目な性格してますね」

「でも真面目なのに就職しないってのも、ちょっとねぇ」

「あはは。そっちは真面目じゃないんですよ」

「あははじゃないわよホント。ねぇ、どう思う?」と松岡さんはやさしい女性に話を振った。

「え、どうって…」と苦笑いするやさしい女性。あ、この人は本当に気遣いができる優しい人なんだな、と感じた。それに対して、松岡さんは正反対だ。この人は無職に容赦がない。

「私は、全然来なくなっちゃう子か、メチャクチャ真面目に仕事をこなす子かのどっちかだと思うわ!」と、松岡さんは断言した。まるでギャンブルのようだ。

「間ぐらいですね」

「もうホントに大丈夫かしらこの子〜!」と、松岡さんは投げやりになった。

どっちかっていうと大丈夫ではない。やさしい女性も「ははは」と苦笑いをしていた。どうこう言われても、どのように見られても別に気にはしない。気にしても無駄で、仕方がないからだ。「真面目」だとか「仕事ができる」なんて言葉は「無職」という肩書きによって効力を失う。無職というディスアドバンテージを抱えるとはこういうことだ。

ゆえに、経験とキャラが大事だった。経験は接客業と品出し業務の経験。キャラは、このお調子者キャラだ。決して暗いイメージを持たせてはいけない。明るく親しみやすいように振る舞う。これを念頭に置いていた。そして、どうやらそれは功を奏したようだった。

 

「それでね、うちの品出しって7時から10時までしかやらないのよ。うちはお店が狭いからイト○ヨ○カド○さんみたいにずっと品出しってわけじゃなくて。それでもいいなら、採ってみようかと思うんだけど

「ぜひ!」

「う〜ん…でもなぁ…ちょっと怖いわ」

「えぇ…頑張りますから」

「うーん。よし、採る!決めた!」

「ありがとうございます!」

思ってもない話だった。もう即答だ。無職なことを指摘され続けたので、てっきり落とされるものかと思ったのだ。

それにまさかその場で採用されるとは驚いた。てっきり1週間ほど待たされるかと。無職の採用なんだから、もっと真剣に考えるべきでは?と少し心配にもなった。

 

そして松岡さんは契約書と確定申告などの書類を取りに部屋を出た。松岡さんを待っている間、やさしい女性と色々話した。その場で採用されたことの驚き、男性の従業員が3人しかいない、大川の彼女の話、品出しはスピードを求められる、レジは楽、そのやさしい女性は明日から異動、など。

しばらくして松岡さんが戻って来て、簡単な説明を受けた。覚えておかなければならない内容なので、以下に箇条書きをしておく

  • 6月から勤務開始。しかし6月のシフトはすでにできあがっているので、少し調整して余ったところに入ってもらう
  • 品出しに慣れて来たらレジもやってもらうかもしれない
  • 来週の月曜中に今日渡した書類と口座の通帳のコピー、免許証のコピーを持ってくること
  • 掛け持ちする時は必ず言うこと
  • 一応契約は2018/3/31まで。それからどうするかは自分で決めなさい

ということだった。

 

かくして、6月から私はフリーターとなる。約2ヶ月間のニート生活であった。いざニートではなくなるとなると、少し寂しい気もする。

1日中好きなことができるのは楽しかった。親に押し付けられた人生から解き放たれたような解放感があった。だが、どこからともなくくる不安もあった。仕事もしないでぐうたらして、俺の将来はどうなるんだろうと。

フリーターになって、一歩前進といったところか。できることからコツコツとだ。その先はまたフリーターになってから考えるとする。

6月からは私が苦手な、新しい人間関係の構築が待っている。仕事はおそらく大丈夫だろうが、その点だけが心配だ。